明治36年刊行の楽典にあるアルペジオの説明であります。大漢和辞典によれば、琵音とともに記載されていますが、アルペジオをかき鳴らす方向が2種類あります。
弦を向こうにはじくのを琵、向こうより手前にはじくのを琶というそうです。
王翰の有名な涼州詞に「葡萄の美酒夜光の杯 飲まんと欲すれば琵琶馬上に催す酔うて沙場に臥すとも君笑うこと莫れ 古来征戦幾人か回る」とあるのを思い出しました。
豊島 与志雄訳、ロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」に銀音の鍵盤から出る白銀の琶音 (アルペジオ)ともあります。
日本語として琶音という語彙は、ほぼ死語になったようであります。現在の楽典ではアルペジオの記号には音符の上から下へと下から上への方向の異なる二種類があります。しかし、神速に奏するとは素敵な言い回しであります。
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