手指巧緻性(物を持ち運んだり、文字を書いたり、料理をしたり、ボトルの蓋を開けたりするなど、いわゆる手段的日常生活動作に直結する重要な身体機能の一つです。 この機能は、加齢により低下し、とりわけ高齢者においては、認知機能とも関連することが知られています。)と認知機能は、50歳を越えると低下し両者に相関関係があるのは、一般に知られていることであります。
大藏倫博(ともひろ)筑波大学教授の研究によれば、両者に因果関係があることが認知機能練習機械による実験により確認されました。すなわち、高齢になって手先の器用な人は、認知機能も優れていること、また練習によって手先が器用になれば、一旦衰えた認知機能が改善する可能性があることです。
この認知機能練習機械を調べてみたところ、一種のゲーム機械でした。それは文字による指示に従い適切に棒を穴の中に入れて、その正確さを競う仕組みです。その操作が習熟するにつれて認知機能が向上することが実験により実証できたそうです。
一般的な常識に近いものですから研究結果が真実である蓋然性は高いと思いました。
文字を楽譜に、認知機能練習機械を楽器に置き換えてみても同様のことが言えないでしょうか。それも個人で独奏するのみではなく、他人と合奏する場合は更に複雑な操作が必要となります、すなわち器楽合奏を行うことは認知機能向上に資する可能性があると思います。
さて、楽器操作するにあたり人間が楽器と情報のやりとりをすることを言う語彙がありませんが、情報工学において、コンピューターを操作するための入力装置や画面表示をインターフェースと呼称しておりますのでこの考え方を敷衍して準用いたします。
現在新宿区戸山シニア活動館と当会によりクラシックギター教室を開催しており、ギター未経験の高年者が沢山参加しております。管見ではありますが、両手の指9本が物理的に発音体と複雑に接触する楽器はギターだけです。恐らくインターフェースで移行する情報量が最大の楽器でしょう。それをもって合奏をするのですから難易度も最大となることと思います。今までの前提が正しければ認知機能向上も十分認められる可能性があります。
以下は私の推測ですが、ギターの名手が易々と合奏をするよりも、初心者が必死の思いで合奏に参加する方が認知機能向上効果は高いと思います。
更に各位が楽器を始めるきっかけは、憧れや懐かしさなど好ましい感情によって、自分の意思で決めたことが考えられます。問題は、合奏に参加するまでに多大の練習時間が必要なこと、自分が演奏したい適当な楽譜が手に入りにくいこと、楽器演奏には技術が必要なこと、音楽理論の勉強が必要であることに加え、ギターの指導者の確保が難しいことです。
当会としては出来るだけのお手伝いをいたします。
皆様のご検討を祈ります。
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